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2018/11/12

【決定版!】ボサノバとサンバの違い!〜ブラジル音楽演奏者の視点から〜

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【ボサノバとサンバの違い】

ブラジル発祥の音楽として日本で人気のボサノバ。そしてリオのカーニバルでも知られるサンバ。どちらもブラジル、リオ・デジャネイロ周辺で発展した音楽ですが、「いったい何が違うの?」と思われる方もいることでしょう。ここでは先に誕生したサンバ、そこから派生して生まれたボサノバのそれぞれの特徴を解説しましょう。

※日本にはアメリカ経由でジャズ化されたボサノバも多く入ってきており、ブラジル音楽人口よりもジャズ人口の方が多いため、ボサノバというとアメリカ経由のジャズ化したボサノバの方が一般的かも知れません。ここで取り上げるボサノバはブラジル音楽としてのボサノバです。
※アメリカのフュージョン・ミュージシャンたちが「なんとかサンバ」というタイトルの曲を演奏するのが一時流行りましたが、あれはサンバの雰囲気だけを真似た別物ですし、もちろん「てんとう虫のサンバ」や「マツケンサンバ」は音楽的にサンバでは無いのでここでは取り上げません。

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『バイーアで生まれリオで育ったサンバ』
サンバは19世紀にリオよりも北方にあるバイーア地方で生まれたと言われています。ポルトガルからの移民が持ち込んだ西洋のメロディやハーモニー、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人達のリズムや宗教、文化などが複雑に絡み合い、徐々に現在のサンバが形成されてきました。やがてバイーア地方のサルバドールからリオに遷都が行われ、それに伴い多くの人々がリオ・デジャネイロに移住。やがてリオはサンバの中心になりました。歴史的な背景は他に譲るとして、ここでは現在のサンバの音楽的な特徴を述べます。

『最大の特徴はリズム〜2拍子とシンコペーション〜』
行進曲、ダンス音楽として発展したサンバの最大の特徴は、躍動感溢れるリズム。スルドという大太鼓が低音を担い、2拍子の2拍目にアクセントを置いた「ドッ、ドゥーン」というパターンを刻み続けます。それに乗ってタンボリンという小型の太鼓が甲高い音色でカ「ッカッカッカカッ」「カッカッカカッカ」と2小節単位のパターンを刻みます。「」が1小節と思ってください。最初のカが「」の前にはみ出しているのがポイント。これがシンコペーションと言われるものなのですが、実際に音を聴いてみた方が分かりやすいと思います。この動画の冒頭を聴いてみてください。

もちろん前述の2種類の太鼓だけでなく、色々な種類のパーカッションや弦楽器も入ってきます。こちらはリオの名門サンバチーム、ポルテーラの様子。

また、サンバのリズムには独特の訛りがあります。16分音符が均等に「タカラカ」でなく「タッカラカッ」という感じで、ちょっと跳ねた感じというか、三連っぽくなります。これも上の動画で確認してみてください。

『サンバはモーホと呼ばれる裏山で育った』
リオの風景写真を見たことのある人はお分かりだと思いますが、リオは海に近い低地と間近に迫る小山が入り組んだ、美しい地形をしています。その海に近い低地には金持ちが住み、モーホと呼ばれる裏山は貧民街となっています。リオの多くのエスコーラ(サンバチーム)はリオの中でも治安の悪いモーホにあり、サンバはそこで育まれました。歌詞の内容は人生の悲しみや苦しみを歌ったものが多く、恋の歌もその多くが悲恋の歌です。人生の苦しみや悲しみを陽気なサンバのリズムに乗せてみんなで歌い、共有するのです。

『1950年代にリオで生まれたボサノバはサンバの仲間』
そんなサンバへのアンチテーゼとでも言うのでしょうか、1950年代後半になると、よりクールで洗練された新しいサンバのスタイル、ボサノバが生まれました。ボサノバとは新しい波、ニューウェーブという意味。つまり、ボサノバっていうのはサンバの一種で、サンバのニューウェーブなんですね。ロックといってもパンクやヘビメタもあればレット・イット・ビーみたいなバラードもあるように、サンバにも色々なスタイルがあります。カーニバルのテンポの速い激しいサンバはサンバ・エンヘード。もっと少人数で演奏されるちょっとポップなパゴーヂというスタイルもあります。サンバ・カンサォンと呼ばれるサンバのバラードもあるんですよ。ボサノバも、そんな数あるサンバのスタイルの一種なんです。

『ボサノバを生み出した中産階級の若者達』
ボサノバを最初に生み出したのが誰かは諸説あるようですが、世に広めたのはジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・モラエスといった白人の若いミュージシャン達でした。彼らは中産階級と言われる、サンバをやっている人達から比べるとお金持ちのボンボンでした。労働者階級の何かを発散したり多くの人に訴えかけるような表現のサンバとは違い、歌も演奏も淡々と、クールに、囁くように奏でられます。自分自身に語りかけるように、あるいは目の前の数人の友人にだけ聴かせるために。1960年代になるとそんなクールなスタイルはアメリカのジャズ・ミュージシャン達に取り上げられ、映画「黒いオルフェ」のヒットもあってボサノバは世界的なムーブメントを巻き起こしました。

『ボサノバはシンプルに、クールに、淡々と』
ボサノバのリズムの特徴は、サンバのリズムを基本に、サンバの複雑なリズムから細かい音符を間引いて、骨格だけにしたようなシンプルなリズムを刻みます。アクセントもあまり付けず、大げさな表現はしません。また、リズムの訛りもサンバは大きく、ボサノバはあまり訛らない平坦に近いリズムで演奏されます。前述したように、歌も大きな声は出さず、柔らかく語りかけるように表現します。

動画はジョアン・ジルベルトの1959年作品。

こちらはよりシンプルな弾き語りスタイル。1曲目はサンバの名曲ですが演奏スタイルとしてはボサノバですね。ジョアン・ジルベルトのレパートリーには古いサンバもたくさんあるんですよ。

『ボサノバの大きな魅力、洗練されたハーモニー』
リズムや表現はよりシンプルに、というボサノバですが、和声に関してはサンバよりも複雑です。サンバは基本的にコードトーン中心の和声ですが、ボサノバではより多くのテンションが使われたり、意外な転調があったりします。この辺は音楽をやっていない人には分かりづらいですが、サンバはベートーベン、ボサノバはドビュッシーって言ったら、、、分からんか(笑)現代音楽やジャズなどにも影響を受けて、より複雑なハーモニーの曲が多いですね。特にジョビンの曲は、メロディはごくシンプルながら色彩感豊かな和声や転調があって、それが大きな魅力となっています。

「Elis e Tom」Elis Regina e Tom Jobim(Antonio Carlos Jobim)

「Wave」Antonio Carlos Jobim

『音楽的な特徴のまとめ』
というわけで、ボサノバもサンバの一種ですから骨格は同じという前提で、それぞれの違いをまとめてみましょう。

リズム:サンバ「複雑」/ボサノバ「シンプル」
歌:サンバ「大きな声で訴えかけるように」/ボサノバ「囁くように柔らかく」
アクセントや表現:サンバ「激しく大げさに」/ボサノバ「淡々とクールに」
和声:サンバ「コードトーン中心」/ボサノバ「複雑なテンション、転調」
演奏人数:サンバ「数人〜数百人のサンバチーム」/ボサノバ「ソロ〜少人数」

もちろん例外もあります。ビッグバンドでボサノバを演奏することもあればサンバの弾き語りってのもあります。あくまでも傾向ってことで。それから使用楽器ですが、サンバはスルド、タンタン、タンボリン、カイシャ、カヴァキーニョ、7弦ギターなどブラジル独特の楽器を使いますが、ボサノバはギター、ピアノ、ドラム、ベース、管楽器などが中心で、ブラジル独特の楽器の使用は限定的と言えるでしょう。

『現在のサンバ、ボサノバ』
ブラジル音楽と言えばサンバ!なイメージですが、ブラジルはあれだけ広大な国ですから、地方によって色々な音楽があります。サンバはリオ、サンパウロなどでは広く演奏され、カーニバルも盛り上がりますが、ブラジル全体ってことで言うと、アシェやセルタネージョなどの方が人気があるようですね。で、ボサノバはどうかというと、本場リオでも観光客相手以外であまり演奏されないようで、今やリオよりも東京の方がボサノバのライブを数多く聴けるような状態らしいです。東京近郊に住んでいるボサノバ・ファンの皆さんはラッキーですね(笑)

「最後に」
これまで自分の拙い知識と見識でボサノバとサンバの違いについて述べてきました。有識者の方々から見たら「違うよ」という事もあるかも知れません。記述に誤りなどございましたらご意見頂戴したく思います。

遙か遠く、地球の反対側で生まれたサンバ、ボサノバに出会ったのも何かのご縁。そしてこのブログを読んでくださったみなさまとのご縁も、ブラジル音楽が繋いでくれたものでしょう。これからも未熟者ながらもより多くの人達とサンバ、ボサノバの楽しさを分かち合うべく活動していきたいと思います。最後までお読みくださってありがとうございました!

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コメント

サンバとボサの違い、よく分かりました。ありがとうございました。

投稿: | 2018/12/02 11:12

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